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雨の中で生まれたモノ ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 8話『しずく、モノクローム』

皆さんこんにちはスパボです。もう気づけば八話です。ということは、この毎週ブログも八週目というわけですね……我ながらよくやってます。

 

さて八話、しずくちゃん回でしたね。

僕にとって、虹ヶ咲の中で、桜坂しずくという子が、一番掴みづらい、けど親近感が湧いて、刺さるっていう謎な存在なんですよね。

 

だからこそ、想像の余地が多いというか、多分他の方と解釈全然違ったりするんだろうな、って思います。(戦争だ…)

 

そんな訳で、今回の記事は最早感想というより、妄想で半身浴していますが、是非最後までお付き合いください。

 

 

・誰かの理想 

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しずく 私は、愛されるスクールアイドルを、目指したいと思っています。

新聞部 といいますと?

しずく 皆さんにとって理想のスクールアイドルを想像して、その子になり切るんです。

 

皆んなにとって愛されるスクールアイドル、それを想像し、演じる。演劇部に所属しているからこその切り口。同時に、アイドルとしての在り方を、全て誰かに依存しているとも言えます。

 

ただ、このインタビューの様子を見るに、誰かの理想、愛されるための存在、それを演じることに躊躇いがない。というかそれが正解だと、確信していたとも感じます。

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部長 今回の役は、しずくとはちょっと違ったみたいだから。

しずく ダメな所があれば言ってください、私頑張りますから!

部長 この役は、自分を曝け出す感じで、演じてほしかったの。

しずく 曝け出す?

部長 役柄も歌手って設定だし、スクールアイドルのしずくなら、適任かなと思ったんだけど。

だから、その確信は主役降板という形で、へし折られてしまったと思います。

 

自分は高校時代、演劇部に所属しており、その時演者達に、役の向き合い方について尋ねたことがあります。

完璧にそれになり切るもの、ある程度自分を残すもの、それぞれの役との向き合い方があって、それらは役によって正解でも、不正解でもありました。

 

部長の言う通り、今回の少女は、しずくちゃんにぴったりでしょうし、演技力を認めているからこそ、任せたのは間違いありません。

 

ただしずくちゃんの中には、違うものになり切るという、引き出ししかなかったから、部長の認識と齟齬があったのでしょう。

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私の歌は誰にも届かない。子供の頃のこと覚えてる?皆んなと少しだけ違う。ただそれだけのことだったけど、私はいつも不安だった。誰かに変な子って思われたら、嫌われたらどうしよう。いつもそんな風に怯えていた。

 

だから、自分を隠すようになった。そしたら、凄く楽になれた。あの日からずっと、私はウソの私のまま。自分を偽っている人の歌が、誰かの心に響くわけがない。そうでしょう?

 

幼い頃に負った、周りと違うという傷、その恐怖から自分を隠して、誰かに受け入れられる自分を、演じるようになっていった。それでずっと上手くやってきた。

 

だから、彼女にとっての演技は、自分を隠す、成り代わることで、構成されてきた。それ故自分を曝け出すなんて、手段がないんです。

 

自分を守るための行為は、役を下ろされるという形で否定され、求められる曝け出すことも、誰かに否定されるかもしれない。

袋小路に落ち込んでる、以外の言葉が見つからないですね。

 

・黒と仮面

八話を見てて、印象的なのは、やっぱり黒しずくちゃんと、白しずくちゃんの対話ですね。

 

八話を通して、白しずくちゃんが、黒しずくちゃんに現実と、本当の気持ちを突かれ続けるのですが。(遊戯君よろしくめっちゃ喋りますよね)

個人的に、本当の気持ちを語るのが、黒で仮面を付けてる方っていうのが、面白いなと思うんです。

 

黒、仮面、この要素だけを見ると、こちらの方が偽物で、綺麗な白の方が本物のように見えるんですけど、実際は白の方を偽りの私って位置付けてるんですよね。

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やっぱり怖いの?本当の自分を見せることが。

だって……

嫌われたくない。そうでしょう?

私、歌いたいの。皆んなの心に響く歌を。その為には、自分を曝け出さなきゃ、受け入れて。

ただ不思議なのは、こんなにも語りかけてくる黒、強い願いを持つ本当の自分が、自ら仮面を被るとも思えないんです。なら誰かに被らされた、と考えてしまうんです。

 

そしてそれは、恐怖から身を守ろうとする、白のしずくちゃんによるもの、じゃないかなと思うんです。

 

変だと、違うと思われるのが怖いという気持ちが強くなってから、受け入れられる自分こそ、本当の自分、人と違う自分は、仮面を付け、偽物として隠してきたのかもしれません。

 

でも役を下ろされ、今まで目を背けてきたものと向き合う中で、やはりそれが本物で、綺麗な自分は偽物だったと、思ったのかもしれません。

 

ただそれが分かっても、仮面を外すなんて出来ないから、演技の練習しか出来ないんですよね。

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・偽物か本物か

個人的に話を通して、偽りの自分、本当の自分、って在り方を気にする所が、演劇部所属のしずくちゃんらしいと言えば、らしいですよね。

 

ただ、ここまで偽物、本物とか言っておいてあれなんですが、本当の自分って何なんですかね?

 

演技してない本物の自分?でも人は、成長するたびに、仮面、周りの人に見せるための自分を、増やし使い分けますよね。

家族や友達の前、会社や、学校での自分、意識してようと、無意識だろうと、多くの人が全く違う顔を持っていると思います。(ペルソナってやつだ……)

 

そしたら、本当の自分ってどこなんでしょう?被った仮面は全部偽物、でしょうか?

 

いえ、偽物なら、本物としてはいけない、わけでもないでしょう。

 

内向的な人が、明るくなりたいと願って、明るく振る舞うために努力して、そうなったら、それは偽物でしょうか?内向的な部分だけ本物……?

 

優木せつ菜や、璃奈ちゃんボードは?確かに偽名であり、本当の顔ではありません。でも菜々ちゃんはせつ菜ちゃんに、璃奈ちゃんはボードに、本当の気持ちを託しました。そして二人とも、そんな自分が、好きだと思います。

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偽物だとしても、演じてる姿だとしても、それを自分が好きでいられるのなら、本当の自分だと思えるなら、それは本物になり得る。

偽物、本物かなんて枠を決めるのは、己自身なのだと思います。

 

でもしずくちゃんは、今、演技している自分が好きなのでしょうか?

璃奈 好きなの?昔の映画。

もしかして、しずくちゃんが演劇を始めたのって、こう言うの見てたから?

しずく そう…かな。それもあるけど、私ね演じてる時が一番堂々としていられるの。誰の目も気にならないし、自分が桜坂しずくだってこと、忘れられるの。

自分を曝け出している不安になるけど、演技している時は楽でいられる。堂々としていられる。

消極的な感覚ですが、今までは、嫌いではなかったと思います

 

けど愛されると信じていたはずの自分は、役から下され、人の心に届く歌を届けられない存在だった。

 

成りたい自分、人へ届ける歌を歌うためには、自分を曝け出すしかない、でもそれは怖くて出来ない。

こんな状況で、どこに好きな自分が、信じられる自分なんているのでしょう?

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しずく できないよ。曝け出すなんて。

嫌い…こんな私…

誰しもが好きな自分でいられたら、被った仮面を好きになれたら、そう在り続けられたら苦しむ人なんていないでしょう。

 

でも被りたくない仮面を、被らなければいけない時、被った仮面を外せない時があるから、偽物と本物の間で、揺れるのでしょう。

 

・"あなた"の理想のヒロイン

皆さん八話を通して、しずくちゃんを思う、中須後輩、というか一年生組の優しさで、視聴者は殴られ続けたと思うのです。

 

二人とも、本当に桜坂しずくをよく見ているし、気にかけていて、やっぱりラブライブ!の一年生組って最高だなって感じなんですけど。(自分のことが嫌になる時、誰かが差し伸べてくれる手がどれだけありがたいか、知っている璃奈ちゃんと、そんな存在になるために走り出す中須後輩……)

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なにより、どうあっても、二人がしずくちゃんのことを、否定しないのが好きなんですよね。

 

今ある弱いしずくちゃんも、しずくちゃんで、多分今までのもしずくちゃん

 

ただ唯一否定したのは、苦しみながら、隠そうとすること。(ここでかすみちゃんが否定してたのは、隠すことそのものじゃないの、本当に好きポイント。)

 

誰かに受け入れられる、いい子の桜坂で自分を守ってきた、ずっとそれでよかった、でもそうしてもいられなくなった。

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本当の自分を曝け出すのは怖くて、でも仮面を付けたままじゃ、何者にもなれない。こんな悲しそうな友達を、ほっておく中須かすみじゃないんですよね。

 

そんな友達を救う為の、ちょっとした荒療治。

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かすみ なーにぃ…甘っちょろいこと言ってんだぁーーー!!
嫌われるかもしれないからなんだ?かすみんだって、こーんなに可愛いのに、褒めてくれない人が沢山いるんだよ。しず子だって、かすみんのこと可愛いって言ってくれたことないよね!しず子はどう思ってるの!?

 

曝け出した部分が、肯定されない時があることも、それにより苦しむことも、かすみちゃんは多分よく知っている。だから隠すことを否定しない。

 

けど隠すことによって、苦しんでしまうのなら、曝け出してしまえばいい。その為の一歩を、しずくちゃんが踏み出せるように、ちょっとだけ背中を押してあげる。

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意外に頑固で、意地っ張りで、自信なんか全然ない、桜坂しずくのことが大好きだと。

 

かすみちゃんは、自分のことを可愛いと、信じて、肯定し続けてきたでしょうし、これからもそうでしょう。でも、今それをより、強く支えているのは、誰からの肯定だと思うんです。

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誰になんと言われようと、自分のことを、自分で肯定し続けてきたかすみちゃんだからこそ、誰かに肯定される大きさは、誰より実感したと思います。

 

だから貰ったものを、次は友達に渡しているんですよね。

 

どれだけの人に嫌われようと、誰か一人でも好きでいてくれるなら、自分を曝け出す理由になってもいいはず。

 

たった一人だけの、理想のヒロインでいても良い。そう思えれば、張り付いた社交性仮面は、外せるはず。

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・雨の中で生まれる

しずくちゃんのMV、めっちゃ雨降ってるって、アホみたいな感想が初見で浮かんだんですけど、その雨の中佇むしずくちゃんを、美しいとも思ったんです。

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雨とか夜って、暗いイメージというか、その先にある虹や、太陽ばっか待たれがちだと思うんですよね。

 

雨が降って、太陽が出るから、虹が掛かる。勿論それらは綺麗ですけど、雨が降る光景だって綺麗で、その過程が、重要だったりするんですよね。

 

彼女が演技を始めたのは、古い映画の影響、もありますが、人から皆んなと違う、変な子と思われない為に、いい子を演じ始めたから。

演技する桜坂しずくは、そんな雨が降る、暗い光景の中で育ってきました。

 

だから、しずくちゃんが演技することに、暗いイメージがあるのは拭えません。でも、暗闇の中一人、雨が滴る桜坂しずく、めちゃくちゃ綺麗ですよね。

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経緯はどうあれ、演技してる桜坂しずくは、素敵なんです。

 

誰かに愛される、受け入れられる自分、そんな後ろ向きな想像力が、彼女の役者としての才能に、いい影響を与えていたのも事実だとも思います。

始まりはどうあれ、主役に抜擢されるまでに、認められる存在になった。

 

しずくちゃんは、今まで目を背けていた、本当の自分を受け入れました。でも、それも本当だって話、なんだと思います。

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どんなに本人が偽りの自分と言っても、スクールアイドルになって、舞台に立つ、今の自分を作ったのは、事実なのだから。

曝け出した自分も、弱さから生まれた、演技する自分も、桜坂しずく。

 

黒を受け入れるから、白を否定する必要はない。どちらも入り混じるモノクロームそれが本当の桜坂しずく。

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しずくちゃんの世界は、雨が降るだけの、ましていつも太陽が照ってる、画一的な世界じゃない。

 

最初から、彼女の気持ち一つで、いつだって太陽を仰ぐ少女になれるし、雨の滴るいい女にもなれる。

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素顔を見せるのも、仮面を被るのも、いつでも自由に出来たら、彼女は何より素敵なスクールアイドルで、大女優になれると思います。

 

そしたらきっと、どちらの自分も、好きになれるんじゃないでしょうか?

 

・最後に

人に好かれる為に演じる自分、曝け出した自分。色んな自分がいましたけど、結局どれも、万人に好かれるなんてあり得ないんですよね。

 

でも、確かに大多数に受け入れられるよう、演じていたら楽で、逆にいたい自分でいることって、よっぽど難しいことの方が多いと思うんです。

 

だから、それを許してくれる、自分を肯定してくれる人は、何より大切にすべき者だと思います。

 

もちろん演じることだって素敵で、大事にすべきです。

 

今回舞台の上で、明確に本物だったのは、しずくちゃんだけで、でもそれって当たり前なんですよ。

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舞台って、言ってしまえば、偽物だらけなんですよね。あの立派なパネルだって、普段はただの木材とペンキの集合体です。部長も、ウィッグや仮面がなければ、明らかに偽物ですね。

 

でも劇の中だけ、それらが全て物語に引き込まれた時だけ、何物も、本物になることが許されているんです。舞台には偽物が、本物になる瞬間があって、それが演劇だと僕は勝手に感じています。(めちゃくちゃ面白いですよね)

 

でも今回に限って言えば、偽物が本物になる空間で、最初から最後まで、しずくちゃんは本物だったこと、しずくちゃんを軸に、全てが本物になったこと。

それが、偽り続けてきたと、苦しんだしずくちゃんにとって、何よりの救いだったのかなとも思います。

 

偽物とか、本物とか、散々言いましたけど、ひとつだけ確かに思うのは、どこまで行っても、そこには自分しかいないこと。

 

演じる自分も、本当の自分も、それらを客観的に見る自分も、全てが自分。

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僕はどのしずくちゃんも、愛おしものだと思っているので、偽りだとか、受け入れられないとか、そんな悲しいこと、しないで欲しいんですよね。

 

今までのこと全て投げるようなこと言うのですが、結局しずくちゃんが、どんな自分も、大切に出来たら、しずくちゃんが、好きな時に、好きな自分でいられたら、何者だろうがどうだっていいんですよね。

 

さて、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。

お付き合い頂き、ありがとうございました!

 

次回も…やばそうなタイトルですね。

 

 

:画像引用 TVアニメ 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会3話、6話、8話より。

セリフ引用 TVアニメ 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会8話より。