シャボン玉と自分達の色。【ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話】
みなさんこんにちはスパボです!
いやぁ……アニガサキ2期3話最高でしたね……
ユニットという『混ざり合う選択』をした意味。
そして1人ではなく、他者の存在があるからこそ見つけられる、自分自身の新しい可能性。
今までのラブライブ!でも自分では気づかなかった可能性に、他者が気づくという展開はありましたが、改めてソロアイドルという選択をした虹ヶ咲だからこそ、また興味深く面白い話になっていましたね。
なので今回は、シャボン玉と他者から見える『自分の持つ可能性』について。
そしてライブ後に流れる劇伴と、侑ちゃんがピアノに向かっていくシーンについても語っていけたらなと思います。
ぜひ最後までお付き合いください!
①プリズムで多彩な少女達
繰り返しになりますが、2期3話で僕が凄く素敵なテーマだなって思ったのは、自分から見た自分。
そして他者から見た自分、っていう自分自身の個性の見え方なんですよね。
僕は自分の個性ってのは、自分自身の存在を確かにするものだと思います。
『自分って何者なんだろ?』って疑問って、誰もが持ったことあると思うんですよね。
なりたい自分とか、やりたい自分を見つけるのも、簡単に見えて当然難しくて、意外と自分じゃ分からないことって多いんですよ。
(結構進路決める時、「自分が何をしたいのか分からない」って人結構多いと思います)
エマ よくトキメいてるよね。
果林 人の気持ちがよくわかるし。
歩夢 私たちの気持ちに寄り添って、いつも応援してくれてる。
侑 えっ?私ってそういう感じ?
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
1期からブレないというか、ずっと高咲侑は高咲侑って感じで、同好会の子達だけじゃなく、僕らからしても「今更言うまい」って感じなんですけど、それを本人は自覚してないんですよね。
スクールアイドルの素敵なところはたくさん出せるのに、いざ自分の個性を探そうとすると、「ない」と思ってしまう。
人って結構自分のことより、他人のことの方が詳しかったりするんですよね。
彼方 侑ちゃんだけじゃないのかもね。
実はみんな、人のことはよく見えてて、自分のことはよく見えてなかったりするのかなぁって。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
だから、ここのシーンすごく納得できると言うか。
自分のことって彼方さんの言う通り、意外と自分からの視点だけでは見えないことがあって、それがQU4RTZの合宿の中で発見されていく様が好きなんですよ。
かすみ 彼方先輩もエマ先輩もりな子もすっごくかわいいから、それをもっと引き出してあげたいんですよ。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
多分かすみちゃんの『かわいい』を貫く視点からすると、本人達では気づかないような可愛さも見えてるのかもしれませんよね。
そして同じように、自分では気づかない自分の一面を、他3人が見つけてくれるんです。
彼方 本当はみんなのことすごく考えてくれるよね。
かすみ 彼方先輩だって、マイペースに見えてほんとはすっごくお世話好きじゃないですか!
璃奈 いつもポカポカだけど、意外と芯は強い。
エマ 璃奈ちゃんは引っ張るタイプだよね!
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
それぞれ見つけた特徴も、やっぱりバラバラなんですけど、でもそれぞれが違う存在だからこそ、それぞれが持っている視点から、『1人1人の新しい可能性を見つけてあげられる』のがステキだなぁって。
で、これは僕の解釈なのですが、シャボン玉が見る場所によって色が異なる様と、他人から見た自分の印象が違うのって僕は似てるなって思うんですよ。
光の当たり方で色の見え方が変わるように、それぞれの視点から見たQU4RTZメンバーの色って違う。
勿論それはQU4RTZだけじゃなくて、他のスクールアイドルの子達も、視点を変えればきっと新しい可能性が見つけられるんです。
これを説明するために、少しシャボン玉とプリズムについて説明させてください。
▲1人じゃ見えない色
突然なんですけど、シャボン玉って透明じゃないですか?でも透明なはずなのに、虹色の紋様が見えますよね?
そう無色透明だからこそ、シャボン玉は光の当たり方で見える色が変わるんです。
ちょっと物理の勉強になっちゃうんですけど、あなたは色をどう認識してるか、具体的に説明できますか?
一般的に僕ら人間は、網膜の視細胞である錐体の働きで色を認識してます。でその錐体は3種類あって、それが青、緑、赤の3種類なんです。
よく色の三原色って言われるやつですね。
つまり凄いざっくり言うと、僕らは錐体の働きで、視覚に入ってくる光の波長ごとに色を認識してるんです。
でそんな僕らが色を判別するために大事な光、これが互いに混ざり合って別の色になる訳です。
太陽の光とか、白い光とかってのは、まさに色んな色が混ざって生まれる色なんです。
で話を戻すと、つまり僕らは光の波長の変化で、光線の色の認識が変わるわけなんです。
そんな光の波長を屈折、反射する物を『プリズム』って言います。
光線は空気から水に入ったりなど、違う物質に入ると光の波長によって折れ曲がる角度が少しずつ違うので、混ざり合ってた光が分かれます。
つまり虹ってのは、雨上がりに太陽が出ることで、空気中の水滴が光線を反射させ、そこで干渉し混ざり合った光が、再び分かれることで出来上がるわけです。
でここまでで察しの言い方ならお分かりだと思うんですけど、シャボン玉もプリズムの役割を果たしてくれる存在なんですよ。
(物凄く大雑把な図で説明するとこんな感じです。)
シャボン玉の虹のような模様も、内側の膜と外側の膜で屈折、反射した光が干渉し合うことで虹色に見えてるわけです。
そしてシャボン玉は場所によって膜の厚さが違うので、そうなれば光の進む距離も異なり、光の波長も変わるわけです。
だから見る場所によって、シャボン玉ってのは色も変わるわけです。
そう考えると、この描写はQU4RTZメンバーそれぞれの波長の光線が屈折して干渉しあうことで、『新しい色=可能性』を発見しているように見えますね。
そしてこれは僕の解釈なのですが、人の色って本来無色透明だと思うのです。生まれた時から、こういう在り方と決まってる!なんてことはないんだと思います。
透明だからこそ自分の色は自分で決められるんです。
なりたい自分の色は自分で選択できるのです。
可愛くありたい自分。大好きを叫ぶ自分。
運命に決められてるわけでも、ましてや誰かに押しつけられるものでもないんです。
でも人は透明でプリズムだからこそ、やりたい自分だけじゃなく、自分からは見えない、他人の位置から見える新しい自分だけの色もあるわけです。
光閉ざそうとも色づいていく
1人じゃ見えなかったパノラマ
まるでプリズム
ENJOY IT!
QU4RTZは合宿を通して、違う色が干渉しあったことで、それぞれの新しい色を、違う色をした誰かが見つけてくれました。
1人じゃ見えなかった自分の新しい可能性、広い視点。それをパノラマと表現しているのでしょうね。
そして、この『自分の個性』や『可能性』への認識こそ、ランジュや栞子、ミアの在り方を決めているんじゃないかな?と思えたんですよね。
ランジュ 私はこれからも同好会とはちがうソロを追求していく。
自分自身を証明するためにね。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期2話より
例えばランジュ自身は彼女のやりたいこと、「自分を証明するため」には1人で追求するしかない。
そうすることで高みに昇れるのが自分なのだと、自分のあり方を決めている。
エマ 本当にそれでいいの?
ランジュちゃんは本当に1人でやりたいの?
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期2話より
でもエマちゃんから見ると、そうは見えてなかったわけです。
そしてそう思えるのは、1人だけど1人じゃないスクールアイドル同好会に、エマさんがいたから。
そして自分だけでは見つけられなかった可能性を、ライブを通してランジュに証明するため、ランジュに向けて『1人じゃ見えなかったパノラマ』って歌詞を送ったんですよね。
ランジュ わたしには真似したくても、真似できないステージだった。
それは認めるわ。でも…!
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
それでもランジュは、1人で自分を高めることを選びました。
これも正しい選択だと思うんです。だって他者からどう見えていても、これがランジュ自身が望む色なのですから。
そして同じく『自分自身から見える自分の色』を、強く信じているのが栞子なんですよね。
栞子 私はただ、私の適正に沿って動いてるだけです。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
栞子も自分自身が適正のあると思ったことをしている。
それは自分自身がそういう色だと思っているからですよね。
逆に自分から見える自分の色ではなく、『他者から見える自分の色』に従って生きてるのがミアちゃんなんですよね。
ミア 別に自分がいいとか、どうでもいいんじゃない?
求められるものに忠実に応えるのが音楽さ。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期3話より
ミアちゃんは逆に、他人から求められる音楽を、他人から求められる色であろうとしてる人間なんですよね。
でもQU4RTZが見つけた通り、他人から見える自分ってのも自分が知らない可能性だったりして、だからこそ他者から期待される自分も、自分では気づけてない自分かもしれない。(ミアちゃんは自分のなりたい色ではなく、他者から見えてる自分の色に引っ張られすぎてるかもしれませんが)
自分だけじゃなく、他者から見える色で新しい自分の可能性を見たQU4RTZ。
それでも1人で自分の信じる形を貫こうとするランジュ。
自分から見える色を信じる栞子。
他者から見えている色、期待されている色に応えようとするミア。
自分じゃない、他人から見れば自分の違う一面も見えるかもしれない、1人じゃないからこそ自分の新しい可能性が見える。
シャボン玉というプリズムを通して、それぞれが自分自身の色とどう向き合うのか、改めて認識させられた回でしたね。
②吹っ切れた想い
ここまでの『1人じゃないから見える色』『新しい可能性』って話を踏まえて、もう一つ最後のシーンに注目して頂きたいんですよ。
このライブ後から流れてる劇伴が、
「吹っ切れた想い、前をむいて」なんですけど、アニメ1期のオフィシャルブックで、劇伴作曲者の遠藤ナオキさんが面白いこと言ってるんですよね。
第2話の最後に流れるのが「吹っ切れた想い、前をむいて」で、かすみが気持ちを吹っ切って前に進むというところは、実は彼女がせつ菜と気持ちを重ねるイメージでも考えていて、2人の姿勢が重なったイメージを大事にしました。
せつ菜と同じ方向を見ているときは、エレキギターOKな感覚が少しあります。(笑)。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 TVアニメオフィシャルブック
88p 音楽 遠藤ナオキ制作ノートより
このインタビューの言葉を借りるなら、ライブ後シーンの中須後輩、というかQU4RTZ自体が、アニメ1期の物語前の『せつ菜ちゃんと同じ方向を見ている』わけです。
かつてのせつ菜ちゃんは、ラブライブ!の大会で優勝するため、旧スクールアイドル同好会メンバーとグループを作り、一つの色に纏めようとしました。
スクールアイドルが大好きだったせつ菜さんは同好会を作り、グループを結成し、全国のアイドルグループとの競争に勝ち抜こうとしました。
勝利に必要なのは、メンバーがひとつの色にまとまること。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 1期3話より
しかしそれぞれのやりたかったことが違った結果、すれ違いが起こりグループという形は破綻。
その経験があったからこそ、虹ヶ咲学園同好会の『ソロアイドル』という形が生まれましたね。
そして今回のQU4RTZがとったユニットという形も、かつてせつ菜ちゃんが選択した「ひとつの色に纏まること」でした。
しかしそれは無理に纏まるのではなく、それぞれの色、個性を大事にしつつ、「新しい自分の可能性」を見つけるために、一度混ざり合うという選択でしたね。
ですが、混ざり合って自分のやりたいことを潰すのではなく、自分自身を貫く上で新しい可能性を見出す結果になりました。
結局同じことをしてはいるんですが、以前とは違い、今回はそれぞれの色が違うことを理解して、それぞれの素晴らしさをリスペクトする準備が、彼女達の中で出来ていたんですよね。
だからこそ、「ひとつに纏まる」という選択は、今回は+な方向に作用してくれたんですよね。
かつてのせつ菜ちゃんの方法は間違っていたわけじゃなくて、ただそれをするための土壌が育ってなかった、きっとタイミングが悪かっただけなんだと思います。
ひとつに纏まることを選び、それぞれの新しい可能性を見つける素晴らしいライブを見せた。
ファンに届けられるようになった仲間たちの姿を見届けたせつ菜ちゃん。
何も言葉を発さないので、彼女がどんな想いなのかはわかりませんが、この安堵したような表情から溢れた涙を見て、僕は彼女が背負っていた苦しみから救われたような気がしました。
▲自分だけの可能性
そしてもう1人「吹っ切れた想い、前をむいて」を背に、自分を貫く選択をした子がいましたよね?
音楽をやりたいと思ったのは、皆んなみたいに自分を表現できる人になりたかったから。
この世界に…私は、私しかいない。
上手く出来なくてもいい。私にしかできないことを。
3話の侑ちゃんの姿を見てると、音楽科の課題、その中でミアちゃんにアドバイスされた「求められる音楽」という概念の間で、『音楽への姿勢』という問いに揺れていたんじゃないかなって思います。
その中で同好会の皆んなが教えてくれた、『侑ちゃんの個性』。
そして侑ちゃんが見つけた答えは、アニメ1期3話でせつ菜ちゃんが決意した『自分を貫くこと』でしたね。
3話のせつ菜ちゃんは自分自身の大好きを叫ぶことを選びました。
それは侑ちゃんの言葉もあったからですけど、でも結局「大好きを叫ぶ」ことを選んだのは誰でもないせつ菜ちゃん自身なんです。
自分を許してあげられるのは自分しかいない。
自分の大好きを叫んでくれるのは自分しかいない。
誰のものでもない 心に問いかけて
選んだ道の先へと 真っ直ぐに
DIVE!
それは侑ちゃんだってそう。
侑ちゃんの「音楽が好き」って気持ちは、侑ちゃんが表現したい自分を表現できるのは、侑ちゃんしかいない。
勿論音楽始めたばかりの人間が、ミアちゃんのように曲を作ることなんてできなくて。
ましてや誰かに求められる音楽に応えるなんて、プロみたいなことできるわけじゃない。
でもそれでいいんです。上手くできなくても、侑ちゃんのやりたいことは侑ちゃんしか出来ないから。
遠回りだっていい 胸張って進もう
DIVE!
世界に自分は自分しかいなくて、だからこそ自分はもっと自分のことを知ってあげるべきなんだと思う。
自分がしたいことってなんなのか?
本当に何もないのかどうか、可能性はないのかどうか。
だって夢を叶えるのも、好きなことをやるのも、全部自分しかいない。
自分の夢には自分1人で立ち向かうしかない。
僕らは自分以外の人間になれはしない。
憧れと同じ土俵で戦えるわけじゃない。
でも憧れだって、僕らになれるわけじゃない。
僕らは等身大の僕らのまま夢見るしかなくて、だからこそ自分のことを、自分自身が知って、信じてあげるしかない。
この世界中の全員がnoだって言ったって
私は私を信じていたい
無敵級*ビリーバー
誰かのように夢を追うことなんて出来やしなくて、ミアちゃんのようになることはできないけど、でもミアちゃんも侑ちゃんのようになることは出来ない。
自分は自分の在り方で、自分を証明すれば良い。
だから侑ちゃんは自分の信じる色で、自分が表現したい音楽をやればいい。
それが教師に評価されなくても、大衆に評価されなくても、自分の音楽を疑ったりしなくていい。
だって少なくとも、侑ちゃんの周りの人間は、侑ちゃんの音楽を信じてるから。
だから負けないで。
あぁ…いい最終回だった……
えっ!?続く!!?????