どんな笑顔でも ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 6話『笑顔のカタチ』感想
皆さんはどんな笑顔が好きですか?僕は眩しい笑顔が好きです。目一杯楽しんでるような、世界で一番幸せだぞって言ってるような笑顔が好きです。
表情って、雄弁に心を語るというか、言語が違っても、表情だけは世界共通で、きっとどこに行っても伝わる表現なんだと思います。
でも感情を伝えるための必須手段ではなくて、歌や文字、映像みたいに、伝える人の表情が見えなくても、気持ちを通よわせる方法は沢山あると思うんです。
感情のやり取りって気まぐれで、表情が見えてようが、受け取ってもらえない時も、何故か伝わる時もあって、模範解答なんてありませんよね。
強いて言えば、その時通じ合えたと思ったなら、それが正解でいいと思います。
今回は、そんな繋がりを求める、女の子の話。
・壁を持つ子と、壁が透けて見える子の出会い。
まだ桜が舞う季節、璃奈ちゃんが高校に入ったばかりの時。
自分の興味のあることを話すクラスメイト、自分も一緒に行きたい、友達になりたい、でもその言葉が出させない。
言語の壁なんてよく言いますけど、表情の壁はもっと分厚く、超えがたいものだと思います。そしてその壁を自覚しているから、言葉を出すことも躊躇ってしまう。
そんなジレンマから、璃奈ちゃんの心は、誰の目にも入らなかったと思います。
そんな時に突然声をかけてきた上級生。
愛 どうしたの?えへへ
璃奈(上級生…怖い)
愛 怖くないよ〜なんか君、元気なさそうだったからさ。
表情にも、言葉にも出てないのに、何故か自分の気持ちを汲み取ってくれた先輩。誰も見つけられなかった璃奈ちゃんの心を、初めて見つけてくれたのは愛さんでした。
そうやって気持ちを見てくれる愛さんが友達になってくれたから、スクールアイドルと、同好会と出会った。璃奈ちゃんにとって、大事な始まりの一つなのですね。
・変わりたいを尊重する
愛さんと繋がって、スクールアイドルと出会って踏み出したからこそ、もっと沢山の人と繋がりたい、変わりたいと願う璃奈ちゃん。
そんな中pvを見たと話しかけてくれたクラスメイト達、彼女達と友達になる機会と、ライブ開催宣言をします。
急なライブ、足りないことがあるのは承知だけれど、本当の自分を見せたい。その願いを同好会の皆んなは汲み取り、応援してくれます。
それぞれの出来るが集まった同好会、目指す姿は違っても、皆んなやりたいことがある気持ちは同じ。
やりたいことのために、自分を変えようとする璃奈ちゃんに、惜しみなくそれぞれの出来ることを伝えてくれる。めちゃくちゃ暖かい同好会ですよね……
勿論難しいこともあるけど、できないから、やらないはなし。今まで何度も打ちのめされてきただろうに、熱い心と、努力をやめない璃奈ちゃん。彼女はとっくに強い子ですね。(熱い心を受け取って微笑むせつ菜ちゃん好きすぎる。)
変わるきっかけ、楽しい日々をくれた、皆んなが応援してくれるからこそ頑張りたい。
あの頃とは違う、変わった自分なら、ずっと言えなかった言葉も……そんな期待を抱いた時に映ったのは、ずっと変わらない自分の表情。
繋がれる人が増えても、楽しい日々が送れても、ずっと変わってない自分の顔。忘れかけてた傷が歩みを止めます。
・変わってるのに、変わってない。
変わってない自分を見て、再び1人きりで閉じこもってしまった璃奈ちゃん。
練習に顔を出さず、連絡も返さず、あの頃のように一人になろうとする璃奈ちゃん。そんな璃奈ちゃんがただ心配で、皆んなで家に押しかける同好会、本当にいい仲間です。
そんな仲間だから、璃奈ちゃんは抱え続けた本心を吐露します。
昔から表情のせいで、誤解され誰とも仲良く出来なかったこと。
愛さんと、スクールアイドルと出会い、もう一度変わる努力をしたこと。
でも失敗し続けてきた、誤解され続けた表情がどうしても気になり胸が痛む。そんな自分が恥ずかしくなったこと。
悲痛な声に込められた思い。
誰でも出来るようなことが出来ず、失敗し続け、大きくなったコンプレックス。でも璃奈ちゃんは変わろうと試み続けていました。
繋がることを諦めず、スクールアイドルになり、自信のないパフォーマンスの練習も怠りませんでした。
もうとっくに、天王寺璃奈は変わっています。
けど、どれだけ変わっても、変えたくても変えられなかった部分が、璃奈ちゃんの中で大きくなりすぎて、それが"自分"になってしまっている。
それが彼女の中の大きな壁なのでしょう。
・こんなに違うけど、同じ。
吐露した、変わろうとしても、変えられなかった自分。
でも誰も責めはしません。璃奈ちゃんの出来ること、出来ないこと、璃奈ちゃんの全てを肯定します。それはきっと皆んな同じだからでしょう。
璃奈ちゃんに始まりを与えた、せつ菜ちゃんだってそうでしょう。
せつ菜ちゃんは、言ってしまえば、出来ることが多い人間でしょう。侑ちゃんを始め、多くの人に始まりを与えた、同好会の中で頭ひとつ抜けたような存在。
そんな彼女でも、中川菜々はせつ菜であることは依然と晒せない、出来ないことがあるまま進んでいます。
出来ないことがないまま、前に進んでいく人なんて、いないと思います。
出来ないこと、出来ることも全部自分で、そんな自分をなんとかやり繰りしながら明日へ繋いで、皆んな目指す場所へ進んでいく、その中で少しずつでも変わっていく。
出来る出来ないも、その道の途中で足踏みする理由も、人それぞれで、側からしたらその程度かもしれません。
でもどれだけ中身が違っても、悩みを抱えている気持ちだけは、皆んな理解出来るはずです。
勿論同じような気持ちを抱えているから、人に寄り添える訳でないです。だからこそ他人に優しく出来る、助けようとする同好会の子達の在り方が僕は好きで、いつまでも変わらずいて欲しいです。
・どんな笑顔も璃奈ちゃん。
ダンボール越しに、皆んなと本心で語り合ったからこそ、見えた道。
ライブ当日、集まってくれたお客さんを前にして、俯いた時に映った、出来ないことを、出来ることでカバーした自分。
このライブをするきっかけに、pv紹介で使ったキャラクターは本当の自分じゃないから、という思いがありました。でもキャラクターを通して伝えたことには、璃奈ちゃんの気持ちが込められてるはずです。
猫が好きで、心はお喋りで、機械が得意で、皆んなと繋がりたいと思っている。
キャラクターやボードは、確かに本物の顔では、ないかもしれません。でもそれらは隠れるためではなく、本当の璃奈ちゃんを表現するもの。
そこに映し出された笑顔と思いは、本物のはずです。
勿論素顔でなければ、気持ちが伝わらないなんて、ことはありません。いえ偽物でも、本物でも伝わる保証はありません。どちらも手段でしかないから。
ならどんな形の笑顔だろうと、そこに気持ちが込められていれば、正解のはずです。
・繋がること
ライブを終えた璃奈ちゃんは、人と繋がったという確信を得ます。僕はこの瞬間が、璃奈ちゃんにとって一番大事だったのだと思います。
ここからは妄言かもしれませんが、璃奈ちゃんが愛さんと、同好会のみんなと繋がれたのも、自分の気持ちを分かってくれる愛さんがいてくれたから、というのは彼女の中であったと思います。
愛さんがいなくても、一人でも人と繋がっていかなければ、「天王寺璃奈は人と繋がれる」という証には出来なかったのかもしれません。
ソロアイドルという愛さんがいない場所こそ、彼女がその証を得るのにピッタリのステージだったと思います。
そんな璃奈ちゃんの願いと、出来るを全て詰めたライブ。
言い方が悪いかもしれませんが、このライブで、ボードが気持ちを通じ合わせるための、キーツールだったかと聞かれると、そうとは言い切れないです。
クラスメイトの子は、表情が変わらない璃奈ちゃんをそんなに気にしていませんでしたし、積極的に繋がりを求めているように見えました。それを避けてしまったのは璃奈ちゃん自身。
何度も繰り返すようですが、表情が見えていようと、どれだけ歌や映像に自分を込めたって、心は伝わらない時だってあります。
でも伝えようとしなければ、何も伝わらず近づけません。言葉も表情も、きっとその為の一歩をくれるもの。
そして僕はこの物語と歌を聴いて、璃奈ちゃんの心を受け取った、と勝手に思ってます。
クラスメイトの子も、璃奈ちゃんの心を正しく汲み取ったかと言ったら、違うのかもしれません。どれだけ言葉や歌で近づいても、お互い全てを見ることなんか出来ないでしょう。でもそれでいいと思います。
璃奈ちゃんが前を向いて、皆んなと向き合って、それで「相手と通じ合えた!」と思えたなら、それが繋がりなんだと思います。
大事なのは璃奈ちゃんが、出来ないことがあっても、出来ることで人と繋がれると思えること。
この成功体験があれば、きっとこれから先も、彼女は前を向いていけると思います。
・最後に
僕は璃奈ちゃんがどうしようもなく好きです、というか前よりずっと好きになりました。
大きなコンプレックスを抱えながらも、変わりたいと進み続けること、今のままではダメだと思える強さ。
相手に伝わらないことが、自分に原因があると思える優しさがすごい好きです。(僕は何で伝わらないんじゃ!!ってなるタイプなので)
これから彼女がどう進んで、変わるのか、もしくは変わらないのか、どちらへ転んでもずっと幸せであってほしいと思います。
誕生日おめでとう璃奈ちゃん。明日も君が前を向いて生きれますように。
:画像出典 セリフ引用 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 6話より